黒柳徹子さんの「もっと SU・TE・KI!展」
Posted on by narita
名古屋タカシマヤの催会場での「もっと SU・TE・KI!展」
黒柳徹子さんとビーズ刺繍作家の田川啓二さんのコラボレーション展ということで、いったいどんな展示なんだろうと思って行って来ました。
黒柳さんが集めた、衣装や小物、器、家具などの調度品が並んでヴィンテージな趣のある展示でした。
誤解を恐れずに言えば昭和〜平成という時代を感じるものが多く並び、黒柳さんのかつて生きた時代を浮かび上がらせるような展示になっていました。これから全国で開催されるのかな?写真は田川さんが黒柳さんの写真に刺繍をしたものです。縦に丁寧な刺繍が施されてストライプのように見えますね。
分かりやすく2015年に黒柳さんが紅白の司会をされて時の衣装もありましたが、物としてのエンターテイメント性がものすごく高いものばかりが並んでおり、自分の趣味ではなくても思わず立ち止まってしまうこと請け合いです。
ちなみに写真撮影は制限されており、ここに掲載しているものは撮影OKエリアのものです。
僕の生業であるジュエリーに関してもアンティークのものを見ていると、惜しみなく時間と蓄積されたテクニックが使われていて、じっと目を凝らして見てしまいます。
悲しくなるのは、最近は一つのものを落ち着いてじっくり堪能するという時間が少なくなって来ていると感じるからです。
スマートフォンの弊害と言ってしまえばそれまでですが、物の情報が多すぎるために一つの大きな情報を持った品物よりも人が評価してSNS的にキュレーションされたものばかりが取り沙汰されるような世の中になってしまったと感じます。
もちろん情報が多く流れることによって理解が深まることもありますし、新しいテクニックでこそできるようになったものもあります。
この辺りは自分への戒めともいえる所ですね。
私の敬愛するアンティークショップのディーラーさんが、「アンティークのポストカード」について書かれた文章が僕のこの気持ちを端的に表していると思いますので引用します。
アンティークのポストカードがなぜ貴重なのかと云うと、コロタイプ印刷とかリトグラフとか工程が複雑で生産性の低い方法で印刷されているから!今の世の中オフセット印刷が主流です。20世紀に初めにヨーロッパでは第一次大戦があって長らく続いていた貴族社会が崩壊してしまいました。その後は資本主義を突っ走るわけですけど、こんなただの紙でできたカードにそんな手間暇掛けられないので1920年代くらいからオフセット印刷が主流になります。ぱっと見シャープに見えなくもないですがCMYKのドットで表現しているわけですから無限階調ではないですし、味わいに欠けます。アンティークとしての価値なんてもちろんありません。古いポストカードはそれはそれは沢山の工程を経ています。手彩色あり、金彩あり、ゴーフルと呼ばれる型押しをしたものもあります。コロタイプ印刷のカードは丁寧に現像されたモノクロの銀塩プリントのようにシャープで無限階調ですし、10倍のルーペでガン見しても破綻がありません。
このように技術の集積によって成された手仕事が評価されるにはそれなりの教養と知性が必要なんですよね。
この展示を見てこんなに素敵なものはもう作られないし、集められないんだろうなと思ったら少し涙が出ました。
黒柳さんもずっとお元気で居て欲しいし、これらの作品も永遠に残って欲しいと思います。
ちょっと感傷的になってしまいましたが、それくらい見るものに訴えかける展示ですよ。
ではまた。
成田
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